夏の盛りに突然気温が10℃近く下がったり、台風の接近で気圧が乱高下したり…。そんなときに「頭痛がする」「だるい」「めまいがする」など、体調の不調を感じる方が少なくありません。
実はこうした天候の急激な変化が引き起こす体調不良は、東洋医学では「外邪(がいじゃ)」や「気の乱れ」として捉えられ、古くから養生の知恵が蓄積されています。
今回は、夏の急な気温低下や台風接近による体調不良について、東洋医学的な原因と対策をご紹介します。
◆ 気温が下がると体調が崩れる理由とは?
東洋医学では、自然界の気象の変化を「六淫(りくいん)」と呼び、「風・寒・暑・湿・燥・火」の6つの外邪が人体に影響すると考えます。
特に、夏の暑さに体が慣れた状態で突然寒くなると、「寒邪(かんじゃ)」が体内に入り込み、以下のような症状を引き起こすことがあります。
• 頭痛や肩こり
• 腹痛や下痢
• 関節痛
• だるさや冷え
夏場は汗とともに“陽気”が発散されやすく、バリア機能が落ちているため、寒邪が入りやすくなっているのです。
◆ 台風の接近と「気の乱れ」
台風が近づくと、気圧が急激に低下します。東洋医学では、「気(き)」は全身を巡り、生命活動を支えるエネルギーとされますが、気圧の変化はその気の流れを乱します。
この気の乱れによって、
• 頭の重さや頭痛
• めまい、ふらつき
• 気分の落ち込み
• 胃腸の不調
などの症状が現れることがあります。特に「脾(ひ)」(消化器)や「肝(かん)」(自律神経)に弱さを抱えている方は、影響を受けやすい傾向があります。
◆ 東洋医学的セルフケアで乗り切るヒント
● 温めて守る
夏でも、特に冷房や冷気に当たりすぎないようにすることが大切。
首・お腹・足首は「三首」といわれ、冷えに特に弱い部位です。スカーフや腹巻き、靴下などで守りましょう。
● 食で整える
冷たい飲み物や生野菜ばかりだと胃腸の働きが弱まります。
温かい味噌汁、ショウガ入りスープ、かぼちゃやにんじんなどの身体を温める食材を取り入れましょう。
● ツボ押しでケア
• 【内関(ないかん)】…めまいや吐き気、精神的な不安定に
• 【合谷(ごうこく)】…頭痛や自律神経の乱れに
• 【三陰交(さんいんこう)】…足の冷えやむくみに
指で心地よい強さで1分ほど押してみてください。
◆ 最後に ~気候の変化と上手に付き合う~
東洋医学では、「未病(みびょう)」という考え方があります。まだ病気とはいえない不調の段階で、生活を調整し、未然に防ぐことが重要とされます。
「今日は台風が近いから、早めに休もう」
「寒くなったから、温かいものを食べよう」
そんな小さな気づきと養生の積み重ねが、健やかさを守る秘訣です。
体調の変化が気になる方は、ぜひお気軽に東洋医学に基づいたケアをご相談ください。
体も自然の一部——その声に耳を澄ませて、無理なく過ごしていきましょう。